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2008/07/07

杉田劇場で『モンゴルの風コンサート』を聞きました

6月21日(土)杉田劇場で、馬頭琴のコンサートを聴きました。
演奏は内モンゴル出身のリポー(李波)さんです。1995年から日本に住んで活動を続けてこられ、また昨年からはワシントン大学の民俗音楽科で指導されるためアメリカに滞在されています。モンゴルと比べ、日本とワシントン州は緑が多くとてもきれいだとおっしゃっていました。リポーさんのモンゴルの家では、羊を何千頭も飼っていたそうですが旱魃で食物の草が枯れ死んでしまったそうです。

馬頭琴は、四角い形をした共鳴箱を両足のひざで抱え、棹を立てて演奏します。棹の頭には馬の頭の彫刻がされていて、それで馬頭琴といいます。弦は2弦で、弓も弦も馬の尻尾でできています。音は、ちょっとだみ声のチェロといった感じですが、弾き方もチェロに似た感じです。馬頭琴で演奏される曲には、やはり草原を走る馬の足音を感じます。

曲目はモンゴルの曲だけでなく、りんご追分などの日本の曲から、クラシックやチャルダッシュのテンポの早い演奏にも挑戦されていました。バイオリンは4弦、馬頭琴は2弦ですから相当な技術だと感じました。また伝統音楽の楽器であるのに、かなり融通が利くことに驚きました。

舞台は、音響反射板を除いた幕設備の状態になっており、残響が短くなります。私も、この状態が馬頭琴の演奏には良いと思って聞いていました。
コンサート終了後、リポーさんとお話させていただいた際、馬頭琴の演奏にはどのようなホールが良いですかと聞きましたら、もともと草原で演奏していましたからとおっしゃいました。音楽はその育った環境と一体だと改めて感じた次第です。
演奏会では、杉田劇場館長の中村牧さんのピアノ伴奏あり、また小中学生のリコーダーとのアンサンブルもあり、地域に根ざしたコンサートを盛り上げようとの熱意を感じました。

7月3日の朝日新聞の朝刊に、モンゴルで暴動とあり、デモ参加者が与党人民革命党の本部を放火し、隣接する文化センターにも延焼、入居する馬頭琴交響楽団の事務所が襲われ、馬頭琴も壊されるか、盗まれるかしたと書かれていました。原因は総選挙への不満、ガソリンの値上げなどの物価高、汚職、貧富の格差の拡大への不満と書かれています。貴重な楽器や楽譜が奪われてしまったことは非常に残念です。