日時:2026年6月21日(日)15時開演、6月20日も公演があった。
場所:日暮里サニーホール、舞台は使わず、平土間を一部、舞台にして、楽器を並べるだけでなく、舞踊も行っている(下記写真にしめした)。
主催:ガムラングループ・ランバサリ
演奏:アロイシウス・スワルディ インドネシア国立芸術大学スラカルタ校で博士号を取得し、1990年にインドネシア共和国文化大臣から模範講師の賞、2012年には文化賞を受賞している。
舞踊:テレシア・スリ・クリニティ カスナナン王宮と中部ジャワ文化センターで宮廷舞踊ブドヨとスリンピを深める。更に舞踊についてはパンフレットに示した人たち、演奏については、ランバサリの演奏者もンフレットに示している。私は近所で、演奏者の一人の大田さんにこのコンサートを紹介された。もう何度かこのコンサートには行っている。すべて日暮里サニーホールである。
司会者が、最初にこのジャワガムランはジャワの宮廷音楽で、日本で言えば雅楽のような感じだと言っていた。ただインドネシアは、戦後王政がたおれ、インドネシア共和国にかわり、それとともに、ガムランは民間に開かれた音楽になっていて、今回も新しく作曲されたガムランを紹介していた。それに対して雅楽はどうなんだろう。奈良時代からずっと皇室の音楽にとどまっているのだろうか?雅楽はこのガムランやオーケストラに様に楽器がたくさんあり、華やかな舞踊や物語もあり、少しガムランと似ているが、雅楽のコンサートは日常的には開かれていない気がする。※ただし私の身近なお寺、善照寺の活動の中で、毎月1回は、先生が来て、雅楽の楽器、笙などを練習して、それを法事の時などに披露している。ただこのような出来事は、一般的な感じではないかもしれない。多分素晴らしいことだ。
コンサート名の「たゆとう」は不安定な状態でゆらゆらと漂うような意味で、このガムランを指しているもののようだ。ガムランは音のリズムは少しずつ変化するし、音律も2系統あり、横向きに並べられている楽器(スレッドロ音階(日本の民謡など))と縦向きに並べられている楽器ペロッグ音階(沖縄の音楽など)の二種類があり、時々入れ替えて演奏する。クラシック音楽の様にメロディやリズムが固定しているものでなく、ゆらゆらと変化する。たゆとうは、それを意味しているのだろう。なんだか心の動きを表現しているのかもしれない。
またプログラムの半分はガムランの伴奏を付けた舞踊となっている。帯が足元より長く垂れ下がり、それをけりながら、しなやかに踊る。また歩きながら紙吹雪を足元から散らかしながら歩く。華やかさが増す感じだ。
NHK2CHのクラシック音楽館のビデオで、ショスタコーヴィチの交響曲4番を聞いた後だったので、この激しい心の戦いを聴いた後に、これはこれでなるほどと思ったが、たおやかなガムランを聞いたことで、心が落ち着く感じは格別だ。
写真:最後に出演者が挨拶をしているところは、写真OKとのことだったが、挨拶をしているところは撮れなかった。少し遅かった。床には紙吹雪がまき散らかされている。
写真:リアントさん(右側)と川島さん(左側)、公演がはねた後写真撮影に応じている。
写真:琴やハープのような楽器、楽器の細い方に座って、つま弾く感じで演奏する。
実は10年ほどまえ、バンドンにバンドン工科大学の音響実験室(無響室、残響室2つ、吸音率測定、遮音測定もできる)を工事監理するために、スペイン人のアントニオさんといったときに、近くに公園があり、そこに日本の占領時の防空壕とその隣にオランダの防空壕があり、現在はそれらが戦争記念碑になっていて、それを見学した。インドネシアの案内人は、日本人の私に向かっても、スペイン人のアントニオさんに向かっても大変文句がありそうだった。しかし当たり前の問題だ。先日天皇陛下がオランダの国王と会った時には、当時悲劇があったが、それを乗り越えていこうと。
そういえば、このランバサリの生みの親は音楽研究者の小泉文夫、当時東京芸大にいた先生だが、多分終戦になった年はおおよそ20歳、戦後の政府が主に教育に使っている音楽、主にクラシック音楽に批判的で、日本の音楽について造詣が深いが、インドネシア宮廷音楽のガムランについても研究し、楽団も作った、それがランバサリ。私が20歳前半の頃、劇団天井桟敷(主催者、寺山修司)の稽古場公演を見に行った。出演者5名、観客はわずか3名の時だった。金属の楽器を雨だれの様にポツリポツリとたたき、それがいつの間にかテンポが異なっている。それを2時間ほど聴いていて、なんだこの音楽はと。今考えるとこのガムランの音楽に近いものだったかもしれない。また横浜ボートシアターの団長の遠藤さんも私より20年ほど早く生まれているので、小泉文夫と同世代。演劇にガムランを取り入れて、なだらかな音楽を流しながら芝居を行っている。よく見に行った。今は、遠藤さんは亡くなり、あとを音楽家の松本さんが演奏しているが、ガムランの楽器はそのままで、ジャズのように演奏している。それはそれで力強さが伝わってくる。