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2026/01/25

清水 寧 編著 「建築におけるスピーチプライバシー」 という本を読んだ感想

 この本は清水 寧さん本人から2025125日に直接いただいた。日本音響学会編 音響テクノロジーシリーズ28 とある。本は共同執筆で、清水寧(元東京工業大学連繋教授)、佐藤逸人(神戸大学准教授)、李 孝珍(東京大学特任教授を経て、現在Fire Insurers Laboratories o Korea)、羽入敏樹(日本大学教授)、山川高史(ヤマハ)、星和磨(日本大学教授) 藤原舞(ヤマハ)からなっている。

 清水さんが書いたまえがきには、個人情報の保護やオフィスの生産性向上から個人情報の漏洩や周囲の会話が業務を侵害するなどの評価に関する研究が進んできている。これらの問題をスピ-チプライバシーと呼ぶようになってきている。

このスピーチプライバシーという用語はWilliam J. Cavanaughを中心としたグループが1960年代に始めたようだ。音響的な不満はそれまで原因と考えられてきた暗騒音や遮音性能だけでは会説明ができず、隣接する空間から侵入する会話の明瞭性という主観的な印象も関係があるとことがわかってきた。今まで室内音響でテーマになってきた「会話の了解度を高めることが必要な情報伝達性能」とは逆の「会話の了解度を低下させ、情報を伝達させない非情報伝達性能」という視点での研究が必要になってきた。

 この本について、最近清水さんと会って、話す機会があった。私は約4年前に脳梗塞を患って以来、病院や薬局に行くことが多く、清水さんと会ってから、1か月に一回行く緑十字クリニックに行ってて、血液検査結果などを話した後、この本を松下 訓先生にみせたころ、実は最近この病院を改修した理由は、診察時の話声を遮蔽するために、いくつかの診察室や検査室などを個室にし、待合室には受付の話声を他の人に聞かれないように、テレビを2台置き、一台は一般のテレビ番組を、もう一方は病気の解説などをし、マスキングを行っているとのこと。そういえば薬局の受付等のカウンターや待合室にも様々なテレビが壁にあり、受付の話声をマスキングするよう気を使っている。

スピーチプライバシーについては、音響的な技術としては比較的新しく、現在進行形のこともたくさんあるとのことだが、現実に社会で機能しはじめ、現実の中で展開し始めた感じがよく分かった。多分ここでは書いていないが、事務所のスピーチプライバシーに関する音響技術についてもより進んでいると思われる。またレストランや喫茶店など、また学校や保育園なども関係がありそうだ。

 音響技術は室内音響だけでなく、超音波の領域で、医療や漁業、更にはAcoustic Emissionのように、飛行機の脆性破壊や建物や地盤の地震時の発生を初期に予測することができる技術など分野が次第に広がってきていると感じる。