ページ

2025/02/03

乙女文楽公演

日時:202521日(土)15001700

場所:川崎市国際交流センター

出演:ひとみ座乙女文楽、大正末期から昭和の初めにかけて乙女文楽ははじまったようだが、今回は、男性も人形遣いに一人参加するようになった。明治時代に女性義太夫が人気を博していたようであるが、今後は次第に変化してくるかもしれない。そもそもひとみ座はそれ以外に演目では女性・男性に関わらず演じてきている。もう一つ文楽という名前はあるが、一般の三人使いの文楽ではなく、この乙女文楽は一人遣いが大きな特徴である。人形の動きが活発で、三人使いより自然に見える。ただし人形の頭を動かすのには、人間の首から紐が人形の頭につながっており、この紐で人形の頭を左右に動かしている。私が乙女文楽を知ったのは、横浜ボートシアターの吉岡さんに、三味線の鶴沢寛也さんを紹介されてからだ。残念ながら寛也さんは、おととし亡くなってしまつたけど、その相方の義太夫浄瑠璃の竹本越孝が頑張って出ている。応援したい。乙女文楽と横浜ボートシアターとは、多分人形つながりだと思う。

演目:二人三番叟、邪気を払い、地を鎮めることから、しばしばお祝いや開幕にあたって演じられるとのこと。本番の奥州安達原 袖萩祭文の段、昨年も同じ題名で公演があったが、今回は袖萩祭文の段の後段もあると。したがって出演者も倍ぐらいになっている。主人公の袖萩祭文は、盲目の門付け三味線弾きになっているが、かつては主人がいた。その本当のすがたは奥州の安倍貞任で、帝の幼い弟を誘拐した謀反者だった。袖萩祭文の父は御殿の守護役であったが、その責任をとって切腹を言い渡される。それを知って袖萩祭文は子供をつれて、雪の降る中、父の家に行くが、父は勘当を解かず、母が心配して、袖萩に祭文語りをさせ、雪が降る中、自分の着物を与えたりする。母の情が感じられる情景だ。そこに袖萩の元旦那、安倍貞任とその弟で、安倍貞任が、袖萩に父を殺せといって短刀を渡していくが、父が切腹するときに、自分もその短刀で自害してしまう。本筋は謀反を含んだドラマチックな話だが、裏の本筋は家族の愛が、親や子供の愛が強く感じられる物語である。見ていていい話だと感じた。お芝居が終わった後、劇場の出口で、出演者が並んで挨拶していたが、人形に感情が写ってしまい、人形に握手を求めて帰った。いい芝居だった。