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2015/11/25

風景の記憶、音の記憶、騒音の記憶、記憶の騒音

美しい景色、印象的な場面を「目に焼き付ける」などといいます。記憶に残った風景は、目を閉じても見ることができたり、時間が経ってもそのまま思い出すことができたりします。

音でも同じことがあります。
印象に残る音は、後になっても聞いた当時の記憶や感情を伴って思い出されたりします(私は、昔ニューヨークで夜中ずっと聞こえていたパトカーのサイレンの音を、今でも不安な気持ちとともに思い出すことがあります)。

音の記憶。それらは通常は記憶と現在が区別されています。ただ、最近、記憶の中の音が、現在も起こっているかのように感じる現象もあるのではないかと感じています。騒音の仕事をしている中で、他人には聞こえない音で、さらに騒音計で測ってもわからない音というものがあります。例えば、体の外部には存在しないけれど本人には聞こえる音の場合、まず「耳なり」があり、それから「体の内部で発生している音(息、心臓、血流など)」という場合もあります。あまりにも静かだと、そういった音が聞こえる場合もあるのです。そしてそれとも違いそうな原因不明な場合。これは一般的な定義はありませんが、可能性として「記憶の騒音」という現象なのではないかと最近思っています。