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2023/11/10

久元祐子 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会Vol.1

 2023117日(火)1900開演

場所:サントリーホール ブルーローズ

ピアノ:ヴェーゼンドルファー社製 280VCピラミッド・マホガニー

ベートーヴェンのピアノソナタは全部で32曲あるようだが、今回は、そのうちの4曲を最初に演奏する。曲目はピアノソナタ第1番、ピアノソナタ第5番、ピアノソナタ第4番、ピアノソナタ第8番「悲愴」、ピアノの音は柔らかな音で、高音も自然な柔らかな音になっている。ピアノコンサートではほとんどの人がスタインウエイアンドサンズ(Steinway&Sons)のピアノの音で、多分言い方が厳しいが、高い音は金属板を叩いたような硬い音となっている。今回はそのようには聞こえない。ピアノはものすごい力で鉄の枠に設けられた弦を強い力で引っ張っているので、このような硬い音になると思われるが、多分、この高い音の弦にも高調波が混ざるようになっていて、そのことによってやわらかく聞こえるのではと思う。この音が、280VCのみの音なのか、それともヴェーゼンドルファーのピアノがそのような音になっているのかはいろいろ聞き比べる必要がありそうである。また曲のすべてにも濁りが無いようで、これは調律の問題の可能性もある。ようするに現在の平均律ではなく、中世の音律、純正律を基にしている可能性もある。またこの音は久元さんでなければ出せない音なのか、それともほかの人が同じ楽器を弾いたら同じような音になるのかも気になるところである。いずれにしても、ものすごく考えられたいい音である。

アンコール:シューベルト:悲しみにワルツ、グリーグ:アリエッタ

 純正律について、次のブログで触れている。「中世 ヨーロッパの音律の純正律は何で必要になったか?」 https://yab-onkyo.blogspot.com/2023/01/blog-post_23.html

             写真:コンサート終了後にヴェーゼンドルファーを撮影