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2022/07/01

狂言 月見座頭の結末

 2022626日(日)NHK Eテレの『古典芸能への招待』で『狂言 月見座頭』が放送された。目の見えない人、視覚障碍者が、虫の音を聞きながら、月をながめて楽しんでいると、通りかかった人が来て、一緒に歌などを歌い、踊りながら風流な雰囲気で楽しんでいた。別れた後、その通りかかった人が気分をいれかえて、目の見えない人に向かって、体当たりをして、さらに振り回して帰っていった。目の見えない人は倒れてしまった後、『この人のにおい』は先ほど一緒に花見をしていた人のにおいだといってつぶやいた、と聞こえた。酒を飲みかわしながら踊ったことなどで、においがわかったと思った。したがってこの物語の『落ち』は、目が見えなくとも犯人はわかったというところだと思った。 

しかし実際の物語は、目の見えない人に向かってぶつかってきたとは、先ほどの風流な人とは大きな違いだとつぶやいたところでおわってしまっているようだ。これはこれで物語としては成り立つが、目の見えない人の理解不足ということになりかねない。

『目が見えなくとも犯人はわかった』という私の先入観は、それはそれで物語としては、『警事コロンボ』のように納得できる結論となるが、現代でも視覚障碍者の交通事故などがあって、ニュースにもなっていて、解決していない問題でもある。そのため『狂言 月見座頭』は非常に現代的なテーマである。さらに人間の感覚には5感、ないし6感があり、周囲に対し、視覚だけで感じるのではなく、この狂言のように虫の音を楽しむ聴覚や嗅覚や触覚や味覚などで感じ取りとる努力が必要とおもわれる。