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2017/05/16

固体伝搬音の音源探査 -主に集合住宅の場合-

 前回は工場の機械など大型機械の騒音対策について記述した。今回は、集合住宅等の騒音調査・対策について少しご紹介したい。

【音源が不明な場合】
 集合住宅等の騒音対策の場合、音源が不明で、その探査から行うという依頼も多い。音源が目の前にある場合は対策も立てやすい(音源が複数ある場合も同様である)が、音源の位置が不明で、さらに固体伝搬音の場合には、部屋の中で聞こえる騒音は部屋全体の壁から聞こえてくるために、建物の中の何が音源であるのか見つけることが難しくなる。

 空気伝搬音であれば、音源が見えない場所にあっても、先行音効果(Cremer)の影響があるために音の方向性があり、また距離によって減衰があるが、固体伝搬音の場合には伝搬速度も固体中では早く、建物全体に伝搬して、しかも距離減衰が小さく、部屋全体から聞こえるために、音の方向感が無くなってしまう。

【騒音が定常音の場合】
 さらに固体伝搬音の場合でも、騒音が定常音の場合には、常時その騒音が存在しているため、測定をして周波数分析を行えばかなり音源が特定できる。
 例えば、電源トランスなどでは通常50Hzや100Hzが卓越するために、騒音計で計測するだけで音源の推測がつく。また給水音などはポンプの起動する音が変動するためわかりやすい。

【騒音が衝撃音の場合】
 問題は音源がわからない場合の「ドンドン」とか「コツン」「パキッ」などの衝撃音である。いつ発生するかわかりにくく、発生時間もバラバラであれば場合によって測定も長時間、数日に渡って行う。長時間待機していても鳴らない場合もあり、音源探査が難しい。

【騒音発生時間からの推測】
 衝撃音で、音源がわからない場合、まずは発生時刻とその音の様子などを、しばらくメモをとって記録する(または住民の方に記録していただく)ことを行う。
 一見バラバラの時間に発生するように思えても、たとえばサッシの熱ひずみによる衝撃音や天井の軽鉄下地から出る衝撃音などは、太陽が当たり始めた頃や、また日が沈む頃に再び発生することが多い。また、夕方から夜にかけて発生する騒音は、お風呂の排水管の熱膨張などのこともある。
 天井下地の熱ひずみで発生する音の場合には、上階の床衝撃音と間違えやすいため近隣トラブルなどの問題となりやすい。音源の予測がまず第一である。

【振動を測定する】
 騒音計で方向性がわからない場合、方向性の予測に振動を計測することもある。加速度振動ピックアップなどを室内数か所に設置、同時に計測して、加速度の振幅や到達時間などを見て音源探査をする。

【集合住宅等の固体伝搬音の対策】
 固体伝搬音の場合も、発生源を見つけられれば、簡単に対策ができる場合もある。高層階の手すりなどの風切り音は、手すりの形状を変更する必要がある場合がある。ファン類、電源トランスなど、設備から発生する固体伝搬音は前回のブログで述べた防振基礎でほとんど解決する。
 対策が困難なものもある。上階の床衝撃音(子供の走り回る音やゴルフの練習)などは人為的なため、解決には住民同士の関係性なども大きな要素となる。床衝撃音もなかなか対策が困難な固体伝搬音である。

その他異音の原因であったもの

  • 高層住宅のサッシは風圧力に耐えるためにアルミと鋼材を組み合わせたフレームを使うことが多いが、熱膨張率の違いで、温度ひずみが生じて異音を出すことがある。
  • 特にカーテンウオールでは、スラブに固定するファスナーの形状で、ひずみを生じて異音が発生する場合もある。
  • 屋上の携帯電話のアンテナの冷却ファンの振動が、防振の不良で下階の部屋に伝搬していたことがある。

2017/05/10

防振板ゴムによる固体伝搬音対策の設計

 弊社では、工場や音楽スタジオの騒音対策などにおいて、防振ゴムでの固体伝搬音対策を得意としています。施工の際の注意点、施工事例も含め、まとめてみました。

【大型のファンやエンジンなどの騒音対策について】

 工場などにある大型のファンやエンジンなどの騒音対策と言えば、一般的には騒音源を壁などで囲って騒音を遮断することを考えるが、それだけでは駄目な場合がある。なぜなら、騒音の伝搬には主に2つの方法があり、空気伝搬音と固体伝搬音であるが、その固体伝搬音の寄与が大きい場合には壁を作ってもほとんど効果がないためである。

【空気伝搬音と固体伝搬音】

 空気伝搬音とは、文字通り空気を振動させて伝搬する音である。空気の振動が壁などを振動させ減衰しながら通過し、さらに空気を振動させて音として聞こえるものも含める。この空気伝搬音に対する対策は、主に壁などを設置することである。高速道路の様に防音塀等もこれである。

  固体伝搬音は、機械の振動などが床スラブなどの躯体を直接加振し、その振動が躯体を通って建物中に伝搬し、それぞれの場所で、建築部位が空気を振動させ放射するものである。固体伝搬音の特徴は、振動が建物中をグルグルと回り、地盤以外にはエネルギーが逃げて減衰するところが少ないことである。

 騒音の伝搬経路として他には、液体を伝搬する経路もある。これは海や川の生物が体感する音である。また宇宙へは音は伝搬しない。媒質が存在しないからである。

【固体伝搬音の騒音対策】

 集合住宅での飛び跳ね(床衝撃音)などの固体伝搬音対策の場合は、コンクリートスラブを厚くして振動をしにくくする方法をとることが多い。40~50年前の集合住宅はスラブ厚が薄く、120mm程度であったが、現在は床衝撃音対策のために、スラブ厚が厚くなり、ボイドスラブなど300mm近いものがある。この、「スラブを厚くする方法(インピーダンスを向上させる方法)」で、効果はスラブが倍の厚みになると約10dB小さくなる。集合住宅では、この方法が一般的になっている。ただしその上に設置する二重床はその性能を低減してしまうことが多く、まだ開発途上のテーマでもある。

 対策が難しいものと言えば、例えば工場の機械室の外壁が振動してスピーカーのように騒音が放射され、近隣住民などから騒音クレームが発生するような場合である。この場合、外壁の内側にさらに壁を設けてもほとんど効果は見られないことがある。それは機械の振動が直に建物の躯体を振動させ(固体伝搬音)、外壁から騒音が放射しているためであり、内壁の設置では伝搬経路が遮断できていないためである。

【大型機械の防振基礎】

 工場の大型機械の固体伝搬音対策として一般的に行われているのが、防振基礎を作り、上に機械を設置して、機械の振動を躯体に伝搬することを遮断する方法である。防振基礎のばね材は、防振ゴムが一般的であるが、その他に金属ばねや空気ばねなどがある。

【防振基礎の固有振動数の設定】

 防振ゴムで機械等を支持した防振基礎は、防振ゴムの動的ばね定数と、その上の機械等の荷重により決まる固有振動数を持つ。ただし、ある周波数(固有振動数の√2倍)以上では振動が低減するが、固有振動数の周波数では振動は増幅し、加振力も増幅してしまう。そのため、その固有振動数を、防振ゴムがばねとして機能する限界まで低い周波数に設定することが課題となる。
人間の音の可聴周波数は20Hz程度が最低周波数と言われており、固有振動数を、それを下回る15Hz以下に設定できれば、20Hz程度以上の騒音を低減できるため、そこを目標とする。

【振動伝達率の予測】

 防振ゴムで支持した防振基礎を単純化して考えると、ばねの上に錘のある1自由度系の振動の場合には、以下の(1式)の様に振動伝達率を表すことができる。この式に固有振動数f0=15Hzを代入し、振動伝達率を求めるとf=√2f0=21Hzのとき、τ=1となり、それ以上の周波数で振動が低減し始める。例えば50Hzではτ=0.1となり、対数で表すと20dBの低減が予測でき、さらにそれ以上の周波数では0.1を下回っていく。インピーダンスの向上(スラブ厚を厚くすること)で得られる効果は10dB程度であるが、防振基礎ではそれ以上の20dB程度の効果が期待できる。





 ただし周波数が大きくなればなるほど、防振ゴムによる振動伝達率のグラフの様に振動伝達率の値は小さくなるが、基礎のモードの影響やロッキングなどの、また支持しているスラブなどの固有振動数のために、効果は20dB前後が限度と考えていた方が安全である。

注意点1: 防振基礎の固有振動数と機械の回転数が重なる場合
 機械の回転数(加振周波数)が、防振基礎の固有振動数前後にある場合などは、振動が増幅してしまい、機械にもスラブにも影響が大いという問題が起こる。この場合、周波数をずらす必要がある。できれば、機械の加振力周波数は、固有振動数の√2以上である必要がある。

注意点2: 加振力の大きな機械の場合
 防振基礎には、防振架台による方法と、さらに架台に付加質量を設定して、機械の振動を低減する方法もある。加振力の大きな機械の、防振基礎を低い固有振動数に設定しても、防振ゴムが柔らかいために機械自体が大きく振動をしてしまう場合がある。この場合には架台にコンクリートなどで質量を付加して、その分支持する防振ゴムの数を増やし、機械側の振動を抑えることも行われる。

【音楽スタジオなどへの応用】
 機械の基礎等に使われる以外に、音楽スタジオなどでも防振基礎は必要とされ、部屋全体を防振ゴムに支持して構築する。この場合には、防振構造と一般の構造では、同様の仕様でも10dBほど遮音性能が向上する。

【防振ゴムの選択】
 弊社では四角い防振ゴムをよく使っている。これはコストが安価であり施工がしやすいためであるが、ホームセンターで入手できるようなものではなく、専門のメーカーにより防振ゴムとして製造されたもので、しかも動的ばね定数がはっきりしていることが条件である。

【施工事例写真】

F楽器スタジオ
F楽器スタジオ竣工後

映画館
映画館竣工後

T録音スタジオ
T録音スタジオ施工後

公共ホール
公共ホール竣工後

太鼓スタジオ
太鼓スタジオ竣工後

2017/04/25

喜多流大島能楽堂の見学

 広島県福山市の学校の体育館で、グラスウール天井撤去後の残響時間の測定を行う機会がありました。

 測定後、ご紹介いただいた設計事務所に併設されているお茶室でお抹茶をいただきました。目の前に福山城が見える素晴らしい茶室でした。その際に設計事務所の方から近くの能楽堂をご紹介いただき、翌朝9時に見学の予約をして行ってみることになりました。

茶室からの景色 目の前が福山城

能楽堂までの道の途中
 福山駅前から商店街を通り、歩いて約10分程度で、目的地の喜多流大島能楽堂です。4代目の大島 政允(おおしま まさのぶ)氏の奥様に施設の案内をしていただきました。大島家は福山藩の藩士でしたが、明治維新後、独立して能の普及につとめられたそうです。

 現在ある能楽堂はRC4F建て、1Fには能に関する展示室、3F~4Fは能舞台および楽屋となっています。能舞台は二方向自然の光が入る空間で、本来の屋外にあった能舞台を感じさせてくれます。能舞台の桧板は竣工当時(昭和46年)毎朝、糠で磨いたそうで、いまだにピカピカです。300席ほどありますが、舞台を囲んでいるために舞台が間近で親密感があります。これが本来の劇場のあるべき姿の様な気もします。
 楽屋には娘道成寺に使われた鐘が置かれていました。鉄のフレームを布で覆ったもので、非常に重いものでした。

能楽堂内
自然光が入る明るいです
足袋をお借りして舞台を歩いてみました


 1階の展示室でお抹茶をご馳走になりながら、いろいろお話を伺いました。海外公演も行われることがあり、また外国からのお客さんもたくさんいらっしゃるようです。「国から一銭も援助をもらっていません」という言葉が印象に残りました。気づくと2時間半ほどもお邪魔してしまいました。

 福山は文化に対する強い気概が定着しているような印象を受けました。朝、商店街を歩いた時も、景色がすっきりとして見え、そこに電柱が無いことに気づきました。道を掃除している人に、思わず「きれいですね」と声をかけてしまいました。地方に多いシャッター街ではなく、元気な商店街でした。珍しい和楽器店(柴田楽器店)もあり、中を覗くと箏三味線のほかに篠笛もあります。実は前日の体育館の音響測定用に持ってきた篠笛を、測定後に紛失してしまいました。朝は閉まっていたので帰りがけに寄って、記念に買って帰りました。広島県福山市はお琴の生産も日本一という土地柄だそうです。

電柱がなくすっきりしています

和楽器屋さんのショーウィンドウ
能楽堂で思いがけず長居してしまったため、行きたいと思っていた鞆の浦には行けずじまいでした。また次の機会に行ってみたいと思います。

2017/04/24

平野交差点整備計画(旧平野屋古民家の活用工事)

だいぶ前の話になりますが、2月の終わりに富士山を見に行き、その際に以前にブログで紹介した古民家のその後の様子を見に行ってみました。

「山中湖の寿徳寺の三浦環の墓」2016.11.08で、寿徳寺の門前にある、解体修理が始まっていた古民家です。
現場には以下の写真の様な内容の工事が行われていました。紹介を見ると、
「既存の骨組みをそのまま活かして地域活動や体験学習などのイベントに利用できる施設に改修します。」
と、あります。建物は旧平野屋という明治初期前後に建設されたものだそうで、なかなか立派な古民家です。山中湖の玄関口にあたる平野交差点にあり、交差点周辺の再整備計画が進行しています。バスの待合所や、観光カウンター、イベント広場なども計画されているようです。(リンク PDFが開きます。)

山中湖には、富士山というとてつもなく大きな魅力がありますが、歴史的な町並みや建造物が案外少ないのです。この建物は建設初期に完全に復原するものではありませんが、再生して活用することは素晴らしいと思いました。昨年のまだ工事が始まったばかりの時に解体中の古民家を見て、その時は何ができるのかわかりませんでしたが何か前向きな開発の気配を感じ、その後を確認したいと思い行ってみました。
どのような施設が出来上がるのか楽しみです。




工事風景
山中湖からの富士山

2016/12/19

Sound Sources for Qualification of Anechoic Chambers

 Hemi-anechoic chambers are rooms that must be designed to completely absorb direct sound produced by acoustic waves. Furthermore, the emulation of acoustic conditions that are free from the influence effect of the room due to reflections is an essential requirement in order to be able to conduct measurements such as Transmission loss (TL), Diffusion Coefficient, Sound Power, etc. For this reason, general procedures as the ones described in Annex A of ISO 3745:2012 and ISO 26101( an improvement of ISO 3745 Annex A) to ensure the performance assessment of a free field must be followed. Furthermore, the efficiency of the sound absorption in the hemi-anechoic testing rooms should be examined with regard to the lower cut-off frequency.

The main purpose of the inverse square law measurements in the anechoic and hemi-anechoic chamber is to compare the decrease in sound pressure with distance from the source to the expected decrease of sound pressure in a true free-field condition (decrease of 6dB per doubling the distance). Being aware that the different equipment, ventilation ducts, doors, etc. can be the cause of reflections in the chambers, the measurements are focused on this aspect. In order to carry out the inverse the inverse square law measurements, microphone traverses shall be made along at least five straight paths away from the geometric center of the measurement sphere or hemisphere in different directions:

a) One traverse path towards a dihedral corner
b) One traverse path towards a trihedral corner
c) One traverse towards the center of one surface
d) If the plan area is not square, then one traverse path shall be towards the closest boundary surface and one toward the farthest boundary surface.
e) Additional traverses to doors, ventilation openings, sound transmission openings, etc.


 Microphone traverses according to ISO26101

The deviations of measured sound pressure levels from those estimated using the inverse square law obtained shall not exceed the values of Table 1. The deviations in Table 1 also determine the frequency range over which measurements can be made in accordance with this International Standard.


Table 1: Maximum allowable deviation of measured sound pressure levels from theoretical levels using the inverse square law

  Furthermore, one challenge of a room qualification is finding adequate sound sources. Sources used in the qualification procedure must be omnidirectional, for that reason, to achieve omnidirectionality, different loudspeakers have to be used for different frequency ranges. In ISO 3745, there is a specification of these sound sources. Up to 400 Hz, a 25cm diameter loudspeaker (YAB speaker is 30cm) in a closed 0.02m3 box shall be used. Between 400 to 2000 Hz, two 10cm loudspeakers (YAB speakers are 12cm) mounted face to face and phased shall be used. Finally, at frequencies 2000 through 10000 Hz a small baffled system driving a narrow (< 1.5cm diameter) tube is recommended. In order to ensure the fully conformity with the ISO, YAB has built its own speakers for the qualification of anechoic chambers (Dodecahedron speaker is used in full-anechoic chambers in replacement of Box speaker due to its omnidirectionality).


 Sound sources for qualification of anechoic chambers


YAB measurements of Inverse Square Law in the anechoic chamber of Bandung Institute of Technology, Indonesia 

-References of interest:

ISO 3745: 2012. Determination of sound power levels and sound energy levels of noise sources using sound pressure - Precision methods for anechoic rooms and hemi-anechoic rooms. ISO Geneva, Switzerland, 2012

ISO 26101:2102. Test methods for the qualification of free-field environments. ISO; Geneva, Switzerland, 2012

Qualification of hemi-anechoic rooms for noise emission measurements. In: Proceedings Inter-Noise 1990, Gothenburg, Sweden, INCE Conference Proceedings, 1990-08-13, 223, pp. 685-690

A renovated Anechoic Room: Some Aspects of Requirements and Measurements, Aug 1991. Ove Till and Bjorn Hagerman



2016/11/28

Helmholtz共鳴器を有する高性能二重床に関する建築学会の論文(黄表紙)が出ました

本工法開発の主の目的は、昭和40年代、50年代、1960年代に建設された多くの集合住宅の床衝撃音対策のための工法で、ヘルムホルツ共鳴機構を用いて、主に重量衝撃源の低音域の改善を目標としたものである。
新築の集合住宅では床スラブの剛性を上げること、すなわちスラブ厚を上げることでこれを解決してきたが、古い集合住宅では荷重の制限があり難しい。このHelmholtz共鳴器を有する遮音二重床は画期的な工法と考えている。本論文はそのHelmholtz共鳴器を有する遮音二重床の設計法を示している。


タイトル:
「共鳴器仕様の違いが重量床衝撃音遮断性能に及ぼす影響に関する実験的検討―Helmholtz共鳴器を有する高性能乾式遮音二重床の開発 その2-」
 EXPERIMENTAL STUDY ON EFFECT OF RESONATOR SPECIFICATIONS
  ON HEAVY-WEIGHT FLOOR IMPACT SOUND INSULATION
 Development of high-sound-insulation double floor system with Helmholtz resonators:Part2

執筆者: 安田洋介 廣瀬俊平、関根秀久 藪下満

日本建築学会環境系論文集 第81巻 第729号, 919-929, 2016年11月
J. Environ. Eng., AIJ, Vol.81 No.729, 919-929, Nov., 2016


神奈川大学、安田先生の導いたヘルムホルツ共鳴機構の2自由度系の運動方程式の予測可能性を300角のユニット実験を行い、確認したものである。
実験では、ヘルムホルツ頸部の位置(水平、垂直)、パイプの長さ、数、径等の違い、またヘルムホルツの空洞部を構成した角パイプの縦置き、横置きの違い、等の実験と理論との対応を見た。その対応は振動伝達率の形で比較検討をしている。


半田の街

音の測定の仕事で、11月18日(金)に愛知県の半田に行きました。
仕事が終わった夕方、すでに暗くなっていましたが新美南吉記念館に行きました。新美南吉は、童話ごんぎつねの作者(1913(大正2)~1943(昭和18))です。
記念館の建築は、屋根が波打っていて里山の雰囲気を表している素晴らしいデザインだと思いました。

翌朝、午前中時間があったので、知多半田駅前で30年近く前に設計に関わった旧第一証券半田支店の建物を見に行きました。現在は社会福祉法人むそうという障害者施設になっていましたが、建物が残っていてよかったです。設計した当時は半田の商店街の中に存在していましたが、今や周辺は駐車場になっていました。駅前なので将来の計画があるのでしょうが、今はちょっとさみしい感じです。


旧第一証券半田支店の建物と(現在は社会福祉法人むそう)

その後、近くの赤レンガ建物を見学しました。ここは明治31年(1898年)にカブトビール工場として誕生したとのこと。設計は明治の代表的な建築家の妻木頼黄(つまきよりなか)で、横浜レンガ倉庫も設計しています。当時ドイツ人の技術者を二人招いて、本格的なドイツビールを明治時代に製造していたようです。

最近になって使われなくなって建物を解体し始めたところ住民の反対があり、市が買い取って改装したとのことで、危なく無くなるところだったのです。
この建物は、一部はレンガ構造で階数が4~5階あり、横浜のレンガ倉庫より高いです。また一部は木造のフレームの中にレンガが組み込まれている構造で、富岡製糸場と同じ構造になっています。



観光施設としてオープンしてまだ間が無いとのことですが、観光客がたくさん来ていました。雰囲気のいいカフェでは当時のビールと同じ味のビールが飲めるようです。
半田の街は、お酢のミツカンが創業したところだそうです。運河があり、地の利が良く、商売が盛んだったようです。このミツカンもかぶとビールに経営参加していたようです。

赤レンガのカフェ
また赤レンガ建物の近くに、順正寺という大きなお寺があったのでちょっと寄りましたら、聖母マリア像のようなお地蔵さんがあり、興味を持って写真を撮りました。
マリア像のようなお地蔵さん

 また半田は山車祭りで有名で、5年に一度、31輌の山車が一度に揃うようで、写真を見ると壮観です。前回は平成24年でしたから、次回は平成29年、来年に行われることになります。
町には歴史が、特に頑張った歴史が大事だと感じたところです。

この半田の山車祭りのうちの一つ、亀崎潮干祭の山車行事が、ユネスコの無形文化遺産に登録される見通しの「山車が登場する全国33の祭り、『山・鉾・屋台行事』」に含まれています。